聖心女子大学名誉教授で天理教谿郷分教会長の松本滋先生の
エッセー集「成人の心」を読んで感動しました。
その一節をご紹介します。
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「磨いている」と「磨けている」
この数年来、歯医者さんのお世話になる事が多くなりました。
聞けば、今「八〇二〇」運動というのが進められているといいます。
八十歳まで自分の歯を二十本保てるように努めよう、
ということです。
今日では、八十歳どころか、六十代でもう入歯という人も
少なくないのですが、その主な原因は、虫歯よりも歯周病
だそうです。
よく歯を磨いている人、虫歯の殆ど無いような若い人でも
歯周病になる、いや、なる人が案外多いと言われています。
何故か、ということを、かかりつけの歯医者さんから教えて頂き、
大変参考になりました。
それは要するに、当人が歯を磨いているつもりでも、実際には
磨けていないからだといいます。
歯磨き剤の芳香でごまかしている、あるいは磨いたと錯覚している、
というのです。
歯医者さんによれば、一日一度でもいいから、正しい磨き方で
丹念に磨くことが大切で、その時にはむしろ歯磨き剤などは
使わない方がいい、ということです。
なるほど「磨いている」ということと「磨けている」ということは、
全く別なのだということを改めて教えられました。
これは何も歯だけのことではない。
心も同じだと反省させられた次第です。