【#1246】 価値ある

私の親しい友人と言おうか同士と言うか、ある女性(62歳)から、
「私彼氏ができたのよ」「結婚しようかな」などと以前から聞かされて
いた。

彼女とは数年前まで教育正常化運動でともに同志として活動した仲間で
あり、今でも電話で話したり、たまに食事をしたりして、会話を楽しむ
仲である。食事をすると3,4時間は語り合う。政治のこと、教育のこ
と、女性の社会進出や、ワーキングプアなど、その時々の世相のことな
ど話で終わりが無いのである。とても知性にあふれ、教養ある女性(お
ばさんだが)である。話は歯に絹をきせぬ鋭さがあるが、チャーミング
で、おしゃれである。

その彼女から年初に電話があり、新年会をしようとお誘いがあった。久
しぶりなので、楽しみにしながら当日お店にいったら、お店の入り口に
年配の男性と立っているではないか。いやいやビックリでした。ご挨拶
をして食事をしたのでしたが、この年配のダンディーは憎いほど知性派
で話も楽しい。さすが彼女のベストパートナーだな、と感心したしだい
である。男性の歳を聞くと72歳と言う。なんとすばらしい彼女との出
会いなのだろうかと感激した。

老子と礼子の人間的影響の書かれた本を読んでいたら、老子と令子の邂
逅は、長い人生からするときわめて短い時間であったという。しかし
お互いが人生に与えた影響はあまりにも大きかったという。

ある作家がこんなことを書かれている。
邂逅、これは人生の成立する根本である。社会は邂逅による結合に他な
らない。その邂逅の良し悪しが応待辞令によって決定する、と言われ
る。

まさに人生邂逅なりである。彼女とあのダンディーもまた邂逅である。
私も彼女と出会って10年以上になる、これもまた人生邂逅である。
互いの人生に好影響を与え合う応待辞令を重んじた関係は、価値ある邂
逅であったと思っている。