司馬遼太郎は「播磨灘物語」で武士の決意をこのように書いていた。
「武士の悲しみは、合戦のつど、妻子と死別を覚悟せねばならぬことで
はなく、常に旗幟を明らかにせねばならぬことだ。」と言う一節だ。
旗幟を明らかにするということは、自分を主家である大将の戦いが勝つ
か負けるかによって自分の運命が決まる賭博に、身を投じなければなら
ないことだ。まさに自分のう運命が主家の戦いの決断で決まる。武士は
その戦いに勝つか負けるかという事を何時も見極めなければならなかっ
た。戦国時代の武士は勝つ大将のもとで働くことが、自分の命のやり取
りであり、生きる術であった。故に旗識を明らかにすることは武士の最
大の決断であったといわれる。その厳しい決断を、戦国と言う時代に生
きる大将は大将はとして、武士は武士としてそれぞれの立場でしなけれ
ばならなかった。常に自分の身のおき場を自分で決める事、そのこと自
体が決断である。いつも自分の命を主家に預けなければならない戦国武
将の決断は厳しいものだ。