【#1448】 葉隠れから・・一節

武士とは死ぬ事と見つけたり。生か死かの二つに一つのときは、死ねば
よい。何も考えることはない。覚悟を決めて進め。目的もとげずに死ぬ
のは、犬死にだ、などというのは上方風な軽薄な武士道である。生か死
かのせっぱつまったとき、うまくやれるかどうかの判断がつくものだ。

有名な「葉隠れ」に一節である。
松本義弘の解説本によれば、人間、生きるほうが好きだ。だから好きな
ほうに理屈をつける。だが目的もとげられず、ただ生き延びられたら、
腰抜けだ。このあたり難しい。目的も遂げずに死んだら、犬死に、気違
い沙汰である。が、恥にはならぬ。これが、武士道に生きる男のありよ
うだ。
毎朝、毎晩、心静かに、死を考え死を思い、常に死に身になっていると
き、武士道の覚悟が身につき、一生、過ちもなく、武士道の務めを果た
すことができる。

目的をもち、その目的と遂げるために、常に真剣に死ぬ覚悟で生きると
きに、その覚悟が身につき、目的を遂げることができるというものだ。