今日の「産経抄」、ポーツマスでの日露講和会議のために米国入りした
外相小村寿太郎の、国運かけた外交交に「背水の陣」で臨んだ気骨と、
そしてシアトルから汽車で向かう途中、山林地帯の駅で小村寿太郎一行
を見送りたいという日の丸を持った日本人労働者に、小村寿太郎が「よ
く来てくれたね」と声をかけ、労働者と小村寿太郎とともに涙を浮かべ
たという・・記事があった。
「ポーツマス旗」(吉村昭著)は、昔、師匠近藤建氏に薦められて読ん
だ本ですが、痛く感動した名著だった。
日本の命運を賭した日露戦争。国民の多大な期待を肩に、全権・小村寿
太郎はポーツマス講和会議に臨んだ。ロシア側全権ウイッテとの緊迫し
た駆け引きの末に迎えた劇的な講和成立。しかし樺太北部と償金の放棄
は国民の憤懣を呼び、大暴動へ発展する――。近代日本の分水嶺・日露
戦争に光をあて、名利を求めず交渉妥結に生命を燃焼させた外相・小村
寿太郎の姿を浮き彫りにする力作長編で、当時の外交文書や小村寿太郎
の日記、秘書官の書き残しメモなどを基に書かれた実録です。
今朝の新聞の記事は・・サミット出席に向かった菅総理に「貴方はポー
ツマスに向かった小村寿太郎の心境ですか」と問うているのである。サ
ミットを東日本大震災の国難をのりきる決意と、国際的に失墜した日本
の信頼を取り戻せるかの国運をかけた会議である事を菅首相は認識して
いるのだろうか・・単なる国内の政権支持率アップを狙うパフォーマン
スぐらいにしか思っていないのだろうか・・・。菅総理に、国家の危機
と国を憂える国民の思いと、緊迫感、危機感でポーツマスに向かう小村
寿太郎と、日の丸をもって山林地帯の駅に見送りにきた日本人労働者の
心境の一片でももって欲しいと願うものだ。