【#1568】 万人幸福の栞より

経営をしていると楽しいことばかりではない。いやむしろ辛いことや苦
しい事が多いものだ。しかし誰にも言えないし。「経営者は孤独との戦
いだ」と言った経営者がいましたが、そうだと思う。
だから「苦しい事やつらい事は直ぐ忘れ、今やらねばならない事に集中
する」事だ。何時のまにか「苦しい事もつらい事も過ぎ去っているもの
だ」。

倫理法人会の万人幸福の栞に「今日は最良の一日 今は無二の好機」と
いう言葉がある。

今日はまたとめぐって来ない。昨日は過ぎ去った今日であり、明日は近
づく今日である。今日の外に人生はない。人の一生は、今日の連続であ
る。 昨日を悔(く)い、明日を憂(うれ)える人がある。これは、今
日の影法師(かげぼうし)にびくついている人。 今日一日、これは光
明に輝き、希望にみちみちた、またなき良き日である。今日しなけれ
ば、何時その日が廻って来よう。今日をとりにがす人は、一生をとりに
がす人である。 日の吉凶(よしあし)というような、迷信にかかわる
人は気の毒である。宝がころげこんでも、今日は日が悪いと、これを見
すてるであろうか。災悪(わざわい)がふりかかっても、今日は吉(き
ち)か凶(きょう)かと、運勢暦をめくって、ぼつぼつそれを払いのけ
るであろうか。今日は一生に二日とない幸いの日、又すきがあればどん
な危険が襲うかもしれない厄日(やくび)である。黒にするか白にする
か、それは己自身にある。九星早見にあるのではない。 一日は今の一
秒の集積(あつまり)である。今を失う人は一日を失う人、そして一生
を棒にふる人。「時は金なり」と言う。しかし、金はとりかえせる。時
は再び来ない。 「気づいた時、気がるに、喜んでさっと処理する」 
「気づくと同時に行なう。」 これは成功の秘訣、健康の秘法である。
ずぼら者、ぐずつく人、これは皆「今」をとりにがす人。光陰矢の如
し。  「時は得がたくして失い易し。」 (『史記』)  「宝の山
に入りて手を空しくしてかえる。」 (『正法念処経』)  「鉄は熱
きうちに打て。」 (ウエブスター) 気づいたとき、それはその事を
処理する最高のチャンスである。それをのばせば、次第に条件がわるく
なる。事情の最も高潮に達した時、その波動(うごき)が、人の脳に伝
わって気がつくようになっている。これは、「気づくとすぐする」とい
う、ほんの日常の、しかも絶対な生活倫理(くらしみち)の実践によっ
て証明せられる。 第一感を働かせよ。これは叡智(えいち)である。
あとで考えたのは堕落(つまらぬ)人間のばか智恵、気づいたら、毛髪
一本(かみのけいっぽん)のすき間もなく、ぐいとつかむ。ここに幸福
の天地がまっている。 気づいても、いっこうに手を出さず、強情をつ
っぱって、なまけ心、心配性が面を出して、せっかくのチャンスを取り
にがす。世の中には宝の山に入りながら、素手でぶらぶら引返す人が、
どれだけあるであろうか。思い立つ日が最上吉日である。