【#1718】 「悪い噂」は「良い噂」を駆逐する。

「悪いうわさ」は「良いうわさ」を駆逐する。

「悪貨は良貨を駆逐する」とは、イギリスの経済学者のトーマス・グレ
ッシャムがエリザベス国王に進言した故事で「グレッシャムの法則」と
いいます、その意味するところは、難しい経済学の話ですが、ようする
に「経済学の法則から離れて、悪人(物)がのさばる社会では善人
(物)が追い払われる」ということです。
例えば、ブランドのバッグのコピー品を放置しておけばやがて本物のバ
ックを駆逐するような事態になるということです。どこかの国がそうで
すね・・・。また、同じ給料で働かない社員を放置すると、よく働きで
きる社員が辞めてしまうということです。

ネット社会では、ネットユーザーはネットでの買い物やサービスの購入
の時、その買い物やサービスの選択には、口コミや評価などを参考にす
る事が多いといわれ、その影響は大きいといわれます。特にユーザーは
「良いうわさ」より「悪いうわさ」を気にするといわれ、そして「悪いう
わさ」が多いと選択に躊躇し、そのサイトから離脱することが多いこと
がわかっています。フィリップ・コトラーは「顧客は良いサービスより
も悪いサービスに敏感である」と言っています。また、ある調査による
と「良いうわさ」はそのことを受けた人から他の人に話されるのは7人
とすると、「悪いうわさ」はそれを受けた人は21人に話します。「悪い
うわさ」は伝播しやすいのです。「悪事千里を走る」と言われますし、
「好事門を出ず、悪事千里を行く」とも言います。企業の好事はなかな
か広まらないものですし、ちょっとした顧客対応ミスも直ぐにうわさと
して広がるものです。

いまネットは私たちの生活の中に入り込んでいます。旅行するにも、買
い物をするにも、コミュニティーに参加するのも、生活の情報や、ビジ
ネスの情報など、ネットは生活の買い物や情報収集の選択、ビジネスで
も欠かせないものになりました。そしてネットには「口コミ」や「掲示
板」「SNS」など、ユーザー間で連携するコミュニティーを形成し、
まったくの未知の人と価値観の共有や情報の共有、コンタクトを取りあ
うという情報の波状化をもたらしています。このような現象に「悪いう
わさ」を受けた企業はこの情報をコントロールすることはできません。
企業はできるだけ「悪いうわさ」が出ないように、パソコンやスマホの
向こうにいる見えないネットユーザーに配慮した顧客対応・企業姿勢・
コンプライアンス・社員教育が求められますね。長い年月で醸成してき
た企業の「良い企業文化」や「良い製品・サービス」も、「口コミ」や
「SNS」という企業側ではコントロールできないバーチャルな世界で
一人歩きします。「悪いうわさは良いうわさを駆逐する」に対応するガ
バナンスもよりいっそう必要になります。