【#2573】 今日の本棚から(自由について考える)

藤原正彦氏の「国家の品格」の三章に「自由、平等、民主主義を疑う」
があります。その中の一説・・・・

  「自由」という概念です。いま自由を否定する人は世界中で
   いないでしょう。私は「自由という言葉は不要」と思って
   います。控えめに言っても、「自由」は積極的に賞揚すべき
   概念ではありません・・

言ってその理由を・・・・

  日本の中世において、自由はしばしば「身勝手」と同じ意味
  で使われてきた。徒然草においてもそのように使われている
  と記憶しています。自由が著しく制限されていた戦中への反
  動から、また自由を国是とするアメリカによる占領統治もあ
  り、戦後は事あるごとに「自由」が強調されてきました。
  憲法や教育基本法をはじめ、さまざま法律にも、基本的な人
  間の権利として書かれております。

  しかし結局、自由の協調は「身勝手の助長」にしかつながら
  なかった、と言えるのではないでしょうか。

  この自由という名の化け物のおかげで、日本古来の道徳や、
  日本人が長いあいだ培ってきたきた伝統的な形というものが
  、傷つけられてしまいました。

  人間にはそもそも自由はありません。生まれ落ちたその時か
  ら人間に自由はないのです。あんなに厚い六法全書があり、
  法律が網の目のように張り巡らされているのです。法律のほ
  かにも道徳とか倫理とかもあります。さらに組織(会社)に
  も規則もあり協調性が強いられています。我々の行動や言論
  は全面的に規制されているのです。

自由が蔓延ると社会は崩壊する。
 
  そして最後にすなわち国家とは、人民(国民)が自由を放棄
  した状態をいうのです。

自由について考えるとても良い文章でした。

今日はこれで終了とする。