3年前から李先生と取り組んできた「新漆産業開発事業」も、事業化を目前に大
きな前進をしている。岩手県奥州市に開設する「いわて漆テック株式会社 奥州
漆研究所」が6月3日にオープンです。李先生との研究実験の積み重ねが大きな成
果を生み事業化が目処ができたのです。
途中新型コロナウイルス感染の蔓延で動きが取れなくなり、挫折しそうになった
事もありました。又工場予定地の地元の反対もありましたが、掲げた「志」を実
現するという2人の強い意志で乗り越えてきた。
このプロジェクトは、漆業界に「新たな技術で産業の近代化をもたらすもの」で
あり、衰退する伝統工芸産業、地場産業の地域振興の大きな力になると確信して
いる。
伝統工芸産業は、戦後の一時は地域を代表する産業であり、その地域の働き場所
であり地域経済を支え雇用をうんでいた。しかし、それは昔のこと・・・
漆産業も同じです。その昔は地域で何百人の人が働いていたが、この50年ぐらい
は衰退の一途を辿り、今では数十人まで落ち込み、後継者すらいないのが現実で
す。
毎年何件かの伝統芸品を作る業界がなくなっていますし、商品は日本の伝統工芸
品ですが、実の所作っているのは中国というのも多いです。漆関連産業も同じで
すね。漆器も中国で作られ日本国内で日本の漆器として土産物店などで売られて
います。
実は日本の漆液の生産量は年間わずか2トンぐらいです。これは日本の漆消費量
の5%ぐらいです。その殆どが中国からの輸入なのです。(95%)。ですから日本で
売られている漆器や漆製品の殆どは中国産の漆で塗られた商品です。
漆産業は、漆の種苗から苗木の育成、育林、漆描き(樹液採取)、採取した漆樹液
(生漆)を精製、精製してできた漆液(黒目漆)を木碗などの素材に塗って商品を作
る工程などから成り立っています。
私たちの「新漆プロジェクト」は、この工程の中の「漆を精製する工程」を、従
来の手工業、職人の勘と経験による製法から、近代的な漆精製技術と機器と設
備、化学的分析手法によって、高品質の漆を大量に精製することを可能にする技
術と生産方法を開発したことです。
必ずや漆産業にイノベーションをもたらし、雇用を生み出し経済効果を最大化し
て地域を元気にする事業になると確信している。
今日はこれで終了とする。