「世に伯楽あり、然る後に千里の馬あり」(世有伯楽。然後有千里馬)(文章軌範より)という言葉があります。「伯楽」とは、中国では馬の資質を鑑定する名人の事です。日本で言えば、馬の売買人の「馬喰」の名人の事を言います。昭和の中頃まで地方に行くと村には必ず「馬喰さん」がいたものです。「千里の馬」は、中国の古典に登場する「一日に千里を走る駿馬」で優れた馬の事を言いますね。
昔、中国である男が自分の持っている駿馬を売ろうとして、毎日毎日馬市に行くが、いっこうに馬は売れません。男はこの馬は駿馬だから高く売ろうと思っていますが、売れないどころか馬に目を止める人もおりません。そこで男は伯楽に行って「どうか馬市に行って私の馬の周りを廻り、去る時には後ろを振り返ってみてください。謝礼はたっぷりやります。」と頼んだ。伯楽は早速馬市に行ってその馬の周りを廻り、去り際にもう一度その馬を振り返ってみた。すると伯楽が目を止めてくれるようような優れた馬であるという事で、馬はあっという間に数十倍の値段で売れたという逸話です。
企業は人なりといいます。優秀な社員によって会社は伸びますが、優秀な社員だけ集まっても必ずしも良いとは言えません。どんな社員にも、また出会う人にも、それぞれに優れた潜在する能力を持っているものです。その能力を見出すのは経営者の能力です。その能力を見出してあげれば優秀な社員として力を発揮しますが、見出してあげなければだだの「駄馬」という事になります。私たちは「伯楽」になる事でよき人材にであう事も、よき人との出会いもあるのかもしれません。「一合一会」を大事にしたいものです。